連載コラム「日曜に想う」 論説委員・沢村亙
「カエル跳び」(リープフロッグ)。近年のアフリカの発展を形容する言葉だという。
アナログ技術を跳び越えて最新技術が一気に普及する。固定電話ではなくスマホ、現金より電子マネー、トラックのかわりにドローン(無人機)――といった具合である。
21世紀の初頭、西アフリカ・セネガルでの取材を思い出す。1500キロ離れたスペイン領カナリア諸島に向かう木造の密航船がひしめく港で、手配師と称する男がうそぶいた。「衛星電話とGPS(全地球測位システム)端末、日本製の高性能エンジンがあればお安いご用さ」
密航ビジネスをはびこらせる先進国との格差は看過できないが、あれもカエル跳びだったのだろうか。
大規模なインフラを要しない技術革新はスタートアップの参入を促進する。坪井彩さんは、東アフリカのウガンダで井戸を保守管理するビジネスを5年前に起業した。
井戸に取り付けた装置にタグ…