江戸時代、お寺は地域の人たちが自然と集まる「憩いの場」だったという。
高松市郊外にある慈照寺は、そんなお寺の役割を取り戻したいと、多彩なイベントを仕掛け、高くなった敷居を低くしようと取り組んでいる。
絵本の読書会を開いたり、境内にうどんのキッチンカーを呼んだり。
一見仏教とは関係ないイベントを企画してきたのは、住職の秋山和信さん(49)と坊守の美智子さん(46)だ。
和信さんは「自分はお寺で育ってきたので、『お寺は敷居が高い』と言われていることに、なかなかピンとこなかった」と振り返る。
変化のきっかけは、3年半前の出来事だった。
お寺を継いだ和信さんと、建築系の会社に勤めていた美智子さんが結婚した翌年の2020年10月、夫婦は長男の死産を経験した。
「どうにか前を向く方法を見つけたい」
美智子さんがたどりついたの…