【動画】花火師たちの言葉=室矢英樹撮影
連載「HANABI]第10部 花火師たちの言葉(2)
久米川和行さん(51)は「色彩の魔術師」と呼ばれる。家業の源流は江戸期に大名に仕えた「お抱え花火師」。なぜ、長く続けてこられたのか。ある言葉に鍵はあった。
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「和火屋」は1901(明治34)年の創業です。祖父の光直は終戦直後の「大曲の花火」で優勝した名手でした。おやじの正行は10代の頃、父が病に倒れ、「廃業したほうがいい」と鉄道会社への就職話をいただいたそうです。
しかし、おやじは「家業を守る」と3代目を襲名します。この決断がなければ、私は花火師として存在していません。
花火は、新規参入がむずかしい世界。どう作るのか、どこで作るのか。居抜きのテナントに入って、すぐに開業とはいきません。
それは危険な火薬を取り扱うからに他なりません。花火会社は、いつまでたっても歴史の積み重ねのうえに立つ家業なのです。
花火の製造、打ち上げは業者ごとに「秘伝」があります。良い花火だと思っても、簡単にまねができません。
一瞬の輝きに「人生をぶち込む」
社名のとおり、うちは「和火…