輪島市朝市組合は8月31日、昨年元日の能登半島地震で一帯が焼失した「輪島朝市」(石川県輪島市)の復興ビジョン中間報告を公表した。元の「朝市通り」だけでなく、新たな場所に大屋根を設置して屋台やキッチンカーを並べる案を提示。年間100万人の観光客を呼び込むことを目標に掲げた。
同組合によると、震災前は朝市通りに早朝からテントや屋台を設置し、昼には片付ける形でほぼ休みなく営業していた。担い手の多くが70歳代で負担が大きく、コロナ禍もあって2020年には観光客は約20万人に減った。現在は、市内の商業施設「パワーシティ輪島ワイプラザ」内で営業しているが、141店のうち62店しか営業が再開できていないという。
復興ビジョンでは、漁港の整備とあわせて観光客が回遊できる朝市の姿を目指す。広場に長さ60メートル・幅30メートル程度の大屋根を設置し、その下で営業する。食品衛生法の基準を満たして新鮮な海産物が売れるように冷蔵ショーケースを備え、食べ歩きや浜焼きなどもできるようにする。軽トラックやキッチンカーでの販売や、イベントも開けるようにする計画だ。元の朝市通りも「軽トラ市」などができるように再整備して活用したいとしている。今年度中に最終案をまとめる。
中間報告は、同市マリンタウンで開かれたイベント「復興輪島朝市×全国軽トラ市」で公表された。この場所にある大屋根(約30メートル四方)を利用し、輪島朝市の約30店と、岩手県雫石町、愛知県新城市、宮崎県川南町など全国7県から駆け付けた「軽トラ市」も並んでにぎわった。
朝市組合の冨水長毅(ながたけ)組合長(56)は「軽トラ市とのコラボで、新しい形の朝市の提案ができたと思う。元の姿に戻すのではなく、持続可能な形で次の世代に渡せるように橋渡しをしたい」と話した。