20年前に公開され、多くの音楽家や映画関係者が影響を受けた映画が、いま再び全国各地で上映されている。4人の女子高校生がバンドを組み、文化祭でザ・ブルーハーツの楽曲を演奏する青春劇「リンダ リンダ リンダ」。国境を超えて支持され続ける作品を後世に残そうと、20周年に合わせて4K修復された。
文化祭の前日、女子高校生3人が途方に暮れていた。バンドのギター担当が指を骨折し、ボーカルが仲たがいでバンドを抜けたからだ。そんな中で、恵(香椎由宇)が偶然「リンダ リンダ」を聴き、この曲なら3人でも演奏できると考える。韓国からの留学生ソン(ペ・ドゥナ)をボーカルに誘って新たにバンドを組み、文化祭最終日である3日後の本番に向けて練習する、というストーリー。
2005年に71館で公開。ミニシアターが中心で、大人数を収容できるシネコンは13館のみだった。そんな本作で、音楽や映画に夢中になり、文化に携わるようになった人が数多くいる。
- ゆっきゅんが語る「リンダ リンダ リンダ」
Vaundyの「踊り子」をはじめとする人気楽曲のミュージックビデオを手掛けてきた小林光大。中学生のとき、地元の新潟から東京の映画館に行って本作を見た。「ジェームズ・イハのサントラが素晴らしく、彼のソロ作品や(彼が加入するバンドの)スマッシング・パンプキンズなどを聴くようになりました。音楽をもっと知りたい(と思う)きっかけになった」と振り返る。
「DIVA」(歌姫)として20~30代の音楽ファンを中心に支持され、映画のイベントや執筆にも多く携わる「ゆっきゅん」は、岡山に住んでいた10歳のとき、地元のミニシアターに初めて行って鑑賞。魅了され、映画館に通うようになった。「『リンダ リンダ リンダ』のおかげでミニシアターの世界を知りました。大きな映画館ではやっていない、面白い映画があると教えてくれた」
公式サイトには、NHK連続テレビ小説「虎に翼」を手がけた脚本家の吉田恵里香や作詞家の松本隆、俳優の上白石萌歌、今年のロカルノ国際映画祭の最高賞作「旅と日々」の三宅唱監督らが、本作への思いを記す。
米国ではバンドも誕生
05年の日本公開後は、韓国…