トヨタ自動車の豊田章男会長(69)が5日、愛媛県今治市の今治明徳短大で特別授業をした。サッカー日本代表の岡田武史・元監督(69)が学園長のFC今治高校里山校が招いた。同校の1、2年生約110人に、金言を授けた。
豊田氏はスタジアムジャンパーに短パンという軽装で登壇。質疑応答では、生徒に自身を「あきちゃん」と呼ばせた。
挫折からの立ち直り方を問われると「とにかく一晩寝ます」。「翌朝、仲間や友人の顔を思い浮かべる。友人たちがまだ立ち去っていないんだから、生き続けようと思える」と語った。
リーダーに必要な資質は? そんな問いには、社長時代の苦い体験を交えて答えた。大規模リコール(回収・無償修理)問題で批判が渦巻く中、米下院公聴会で証言した豊田氏。「責任者は矢面に立って、逃げない、ごまかさない、うそをつかない。それで現場を守ることだと思います」と語った。
授業後はグラウンドでラリーカー「GRヤリス」を自ら運転。車の性能をチェックする「マスタードライバー」で、国際C級ライセンスも持つ豊田氏はレーシングスーツに着替えてハンドルを握り、生徒9人を順に助手席に乗せ、車輪を滑らせて曲がる「ドリフト走行」を披露した。
同乗した1年の西岡真子さん(15)は「乗せてもらい車好きになりました。授業では、経験を通じたコミュニケーション力に触れ、『こういう人が世界企業のトップなんだ』と感じました」と話した。
豊田氏は、父・章一郎氏を通じて岡田さんと知り合い交流。昨年も同校で特別授業をした。