石破茂首相が退陣する意向を表明した。昨秋の衆院選、7月の参院選と連敗した後も続投を模索したが、総裁選前倒しを求める自民党内の「石破おろし」に屈した形だ。1年弱の政権運営の成果とは。多党化が進むなか、政治はどこへ向かうのか。政治学者の御厨貴さんに聞いた。
――自民党内で総裁選前倒しを求める声が強まるなかで、石破茂首相が退陣を表明しました。
「当初から弱体だった石破内閣ですが、7月の参院選後もピリッとしない党内抗争の末、倒れました。しかし、いま目の前に広がっているのは、一つの内閣が崩壊しただけの景色ではありません」
「戦後80年のいま、日本政治が追い続けていた二大政党制への夢がついえました。自民党と社会党による1955年体制以降、大きなエネルギーをつぎ込んだ90年代の政治改革は政権交代可能な二大政党制を目指してきましたが、将来への展望も見通せない荒涼とした風景が広がっています」
――7月の参院選で、国民民…