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セックス・セラピストで泌尿器科医の木村将貴さん=相場郁朗撮影

 「セックスを望むのにできない」「相手の求めに応えられない」という人の駆け込み寺になっている人たちがいます。セックス・セラピストやセックス・カウンセラーと呼ばれる専門職で、一般社団法人「日本性科学会」が認定する34人が全国で活動しています。どのような悩みが寄せられ、どのように解決に導いているのでしょうか。セックス・セラピストで泌尿器科医の木村将貴さん(49)に聞きました。

 ――セックス・セラピストという職業はあまり聞きなじみがありません。

 一言でいうと、「性に困っている人たちを助ける職業」です。医師や看護師、臨床心理士らの専門職が、日本性科学会主催の研修を受けて認定されます。セクソロジー(性科学)という学問に沿って性機能障害の治療にあたります。

 性について幅広く相談に乗るセックス・カウンセラーも学会の認定資格としてあります。

 ――木村さん自身の取り組みは。

 私は長年、泌尿器科医としてED(勃起不全)の患者を多く診てきました。心理的な要因を抱える人が一定数おり、薬の処方が中心の治療に限界を感じることもありました。

 そこで、様々な方向からアプローチして相談や治療にあたる「カウンセリングルーム Esolve(エゾルブ)」を2020年に立ち上げました。公認心理師と看護師2人の計4人でチームを組んでいます。週1回集まって患者の情報を共有し、医学的、心理的な観点から治療を検討します。

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 ――どのような相談が多いのですか。

 やはりセックスレスの悩みが多く占めます。原因の多くは性欲低下です。

 相手に性的興味がわかなくなり、最悪の場合は嫌悪感まで抱いてしまう「関係性の問題」だったり、男性で言えばEDや膣(ちつ)内で射精ができない症状、女性だと性交痛や男性器の挿入ができないといった「体の問題」だったり。

 どちらも絡むケースや過去の性体験の失敗、日常的なパートナーへの不満といった心理的要因が背景のケースもあります。

 ――具体的な治療法は。

 エゾルブでは、カップルでのカウンセリングを勧めています。性についてはなかなか本音を打ち明けられていないことが多いので、私たち第三者をまじえて原因と解決の糸口を探ります。

セックスセラピーが目指すもの

 半数ほどはカウンセリングで…

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