【動画】首都圏で短時間に猛烈な雨が降った
気象庁は11日午後2時50分過ぎから、首都圏で短時間に猛烈な雨が降っているとして、東京都と神奈川県に「記録的短時間大雨情報」を相次いで発表した。局地的に積乱雲が発達し、雷も鳴り響いた。東京都目黒区では午後3時20分までの1時間に134ミリを観測するなど、猛烈な雨が降った。
気象庁によると、本州にかかる秋雨前線に南からの暖かく湿った空気が流れ込み、広い範囲で大気の状態が不安定になった。東京都の上空では、異なる方向からの風がぶつかりあって、次々に積乱雲が発達した。
「雷が落ちて火災」搬送も
東京都の大田区や品川区、世田谷区、港区でも1時間に100ミリ以上の大雨に。神奈川県の横浜市や川崎市にも記録的短時間大雨情報が発表された。
11日午後2時半ごろ、東京都立川市若葉町4丁目の5階建て共同住宅で「2階に雷が落ちて火災が起きている」と近隣住民から110番通報があった。居住者の90代女性が煙を吸って救急搬送された。意識はあるという。
気象庁は土砂崩れなどの危険性が高まっているとして、東京都港区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、川崎市に土砂災害警戒情報を出した。
この雨の影響で、東海道新幹線は一時東京―三島間を中心に運転が止まったが、午後4時に再開した。JR東日本によると、東海道線、南武線が運転を見合わせている。
国土交通省によると、羽田空港では雷雨のため午後2時過ぎから地上作業ができなくなり、航空機の離着陸が中断。午後4時20分ごろに再開したという。日本航空は午後4時半時点で19便が欠航し、4115人に影響が出た。全日空は午後5時時点で23便が欠航し、約5500人に影響が出た。
立会川と谷沢川が氾濫
東京都大田区は、田園調布4丁目と5丁目、呑川(のみかわ)、丸子川流域に警戒レベルが最も高い5にあたる「緊急安全確保」を一時発令した。都によると、午後2時22分に谷沢川(世田谷区)、午後3時28分に立会川(品川区)で氾濫(はんらん)を確認。これを受け、品川区も周辺に一時「緊急安全確保」を発令した。
呑川そばに住む無職男性(67)は、「普段は川底が見えるぐらいのこともあるけど、あと1メートルくらい水位が上がれば川があふれそうだった」。40年ほど住むが、ここまでの高さになったのは初めてだったという。「雨が降り続けば、あふれるのではないかと恐怖があった」と話した。
記者も遭遇 駅舎に落ちる大雨
取材に向かう途中だった朝日新聞記者(42)は午後3時前、JR山手線内で「目黒川がはんらんする危険があるため、目黒駅でお降りの方はお気をつけてください」というアナウンスを聞いた。
目黒駅に着くと、傘を差しても、少し歩いただけで背中までびしょぬれに。駅舎に大雨が落ち、「バーン、バーン」という音が30分ほど続いた。雷の大きな音も30回以上が聞こえた。
高校1年の女子生徒(16)は、増水した目黒川を見て「普段は川底が見えるのに。水が4倍くらい増えたんじゃないか」と驚いた様子だった。
店にも浸水 「いつ再開できるか」
大田区上池台のインド・ネパール料理店では、午後3時~午後4時半ごろまで店が浸水。経営する男性(56)によると、一時はひざ上ぐらいまで水位が上がったという。従業員はイスやテーブルを外に出し、泥をかき出す作業に追われた。「15年ここで店をやっているけどこんなことは初めて」。冷蔵庫は浸水して故障。「いつ再開できるかわからず不安だ」と話した。
戸越銀座商店街事務局(品川区)の梅原壮一さん(68)は、「午後3時台に30分ほど、雷と一緒に雨が集中的に降った」と振り返った。周囲の店主らとともに、雨水が流れ込んだ商店街の会館からモップで水を出そうとしたが、「全然追いつかない。床下浸水しているのでは」。
「ここまでひどいのは1999年の夏にあった豪雨以来。半地下の店は営業できなくなった当時のようにならないか」と心配した。
一方、気象庁によると、千葉県内ではこの日午後から各地で竜巻注意情報が出ていた。木更津市で午後2時50分ごろに竜巻のような突風を目撃した30代男性会社員は、「映像などでしか見たことがなかったので非現実的な感じだった」と話した。