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 生命保険会社が銀行に送り込んだ出向者が、内部情報を集めて自社の保険販売を伸ばすために動く――。日本生命保険で発覚した行為は、顧客にとってはどんな不利益となり得るのか。

  • 日本生命、出向者13人が情報604件を無断で持ち出し「日常的に」
  • 「情報持ってきた者勝ち」日本生命、出向先で販売拡大「ミッション」

 銀行は複数生保の商品を扱う「乗り合い代理店」に位置づけられる。販売に際しては顧客の意向に沿って複数の商品を客観的に説明しなくてはいけない。「比較推奨販売」と呼ばれるルールだ。

 保険商品は買い手にとって複雑で比べにくく、売り手の言いなりになりやすい。中立的な立場を装いながら、実は「出向元の商品」という理由で特定の商品に誘導すれば、顧客は最適な商品を選べなくなる。

 銀行での保険販売では、多額の資産や退職金を持つ顧客が中心となる。一括で保険金を払うタイプの商品が主力で、比較推奨がゆがめられれば、顧客は知らぬ間に大きなリスクを負う。

 生保からの出向者は顧客に販売する場合、出向元は明かさない。ある生保幹部は「出向元から独立し、あくまで銀行員の立場で業務を担う」と語る。

 だが、今回明らかになったの…

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