【動画】日本の「臨床宗教師」のモデルとなった「チャプレン」。米軍三沢基地のチャプレンに会ってきた=鵜沼照都撮影
東日本大震災を契機に養成が始まった「臨床宗教師」。宗教や宗派を超え、人々の悲しみや苦しみに寄り添い、心のケアなどを担う宗教者のことで、欧米の「チャプレン」に対応する日本語としてつくられた。欧米でチャプレンが求められるのは、被災地や、医療機関、福祉施設だけではない、軍隊でもだ。青森県三沢市の米軍三沢基地に、チャプレンを訪ねた。
「聖職者であり、軍の委任を受けた士官」
三沢基地のメインゲートをくぐり、最初の交差点を左折、100メートルほど進んだ一角に「三沢チャペル(礼拝堂)」がある。米軍基地内のチャプレンは「チャペル」を拠点に活動する。
宗教的な集会施設は、仏教なら寺院、キリスト教なら教会、イスラム教ならモスク……とそれぞれ呼び名は異なる。しかし、米軍内では「チャペル」の名称で統一されており、すべての基地に「チャペル」はあるという。
取材対応をしてくれたのはウィング(航空団)チャプレンのイーライ・ドウェルさん。キリスト教バプテスト派の牧師で46歳。出身はミズーリ州の州都・スプリングフィールドで、軍での階級は少佐だ。三沢チャペルにいる6人のチャプレンの中では一番上の責任者だという。ドウェルさんは自身の立場をこう説明する。「私たちは宗教団体から承認を受け、資格を持つ聖職者です。また、軍の委任を受けた士官でもあり、他の軍人と同様に、階級章を着用し、士官として職務を遂行します」。
兵士らに、精神的・感情的なサポートを提供する存在で、宗教的儀式を執り行うほか、ストレスや心のトラブルの発生にも対応する。カウンセリングをしたり、宗派を超えた知見を持つ専門家として様々なアドバイスをしたりする。
活動は基地の外でも
ドウェルさんは「チャプレンは非常に重要な二つの役割を担っています」と話す。
1つ目は、宗教の自由な実践…