戦後80年を迎え、戦争の記憶をどのように語り継いでいけるのか――。
Re:Ronでもこの夏、特集「考えてみよう、戦争のこと」などの寄稿を通じて、様々な角度からこの問いにアプローチした。
音楽家・文筆家の寺尾紗穂さんは、南洋諸島における戦争の記憶に光を当ててきた。サイパンなどでの詳細な聞き取りを通して、日本から南洋に持ち込まれた差別意識の実態を浮かび上がらせる。今の日本の状況も照らし合わせながら、差別意識は暴走すれば暴力になると指摘した。
文筆家の榎本空さんは、沖縄北部の離島、伊江島で育った。80年前、米軍が上陸してから6日間続いた地上戦で、住民のほぼ2人に1人が命を落とした。島を80年にわたって包んできた「沈黙まじりの特殊な記憶の形」に着目。それこそが、戦争の余生を生きる島の人々を守ってきたとつづった。
哲学者で作家の永井玲衣さんは、ふるえる声でマイクに向かった反戦集会での体験に触れた。「戦争は悲惨である」という紋切り型を超えるには――。「どうやったら、戦争を想像できるのだろうか」と改めて問いかけた。
国際シンポジウム「朝日地球会議2025」のRe:Ronセッションが10月25日、東京・八重洲で開かれる(アーカイブ視聴も可能)。「小さな語り、小さな声に耳を澄ます 過去から未来へ語り継ぐことば」と題して、寺尾さん、榎本さん、永井さんが登壇する。登壇者を囲んで対話を深めるアフタートーク「Re:Ronカフェ」も予定している。戦争の記憶を未来につなぐ言葉のありかを探りたい。
- 「小さな声に耳を澄ます」リロンセッション 10月25日、地球会議
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