石川県輪島市門前町吉浦。日本海を望む急斜面に立つ覚成寺(かくじょうじ)を8月中旬に訪ねた。その時、住職の岡本満葉(みつよう)さん(76)は言った。「できる限りここにいたい。戻ってくる人を待ちたいと思って」
昨年1月に能登半島地震が起きるまで、寺のある集落には8世帯15人ほどが暮らしていた。だがいまは、満葉さんと妻の八重子さん(72)の2人だけだ。
寺の本堂や住居は、瓦が落ちたり、傾いたりしたが、倒壊は免れた。一方、集落の家々は地震や豪雨で被害を受けて相次ぎ公費解体され、住民らが戻る気配はない。
最大の問題は水の確保だ。集…