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記者サロン「フィンランドで考えた ナショナリズム・歴史・移民」の収録に臨む社会学者の朴沙羅さん(右)と高重治香・論説委員=岩本哲生撮影
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 オピニオン面の連載「欧州季評」を7月まで執筆していた社会学者の朴沙羅さんをお招きした、記者サロン「フィンランドで考えた ナショナリズム・歴史・移民」が配信中です。

  • 【配信中】朴沙羅さん出演の記者サロン「フィンランドで考えた ナショナリズム・歴史・移民」

 事前の質問募集で関心が集まったのは、フィンランドの教育、外国人の地方選挙権、そして移民や差別の問題でした。編集を担当した記者として、それらの質問を朴さんに投げかける形で進行すると、配信開始後に「具体的な事例にどう応用するかがいくつも示された」(北海道・男性)という感想もいただきました。特に、「差別発言を聞いた時に、どのように異議を唱えますか? 差別した人に届く言葉とは」(大阪府・女性)という質問に、朴さんが返した答えには、「切り返し、覚えておこうと思う」(兵庫県・女性)「提言が心に響きます」(神奈川県・女性)などの声が寄せられ、聞いた方に強い印象を残したようです。詳しくはぜひ、記者サロンをご覧ください。

 重いテーマも多かったですが、朴さんの関西弁でのユーモラスで明快な語りに、「楽しく視聴できました」(岡山県・男性)「すべてが目からうろこ」(東京都・女性)という感想をいただきました。私も、視界が開けて気持ちが軽くなりました。

参院選後により響く、朴さんの言葉

 記者サロンを収録したのは参院選より前でしたが、外国人政策が注目された選挙戦や結果が出た後に視聴すると、朴さんの話がより響いてきます。

 最後に、「現代における『国家』『国民』という概念の持つ意味とは」(東京都・女性)という質問への、朴さんの答え(抜粋)を紹介します。

 「基本的人権が尊重されるかのラインが、国民と『国民でない者』の間に引かれている状態が、問題です。その間に権利の格差があって当然、という発想が問題です。人権は国籍にかかわらず、誰にでも必ず与えられるべきであり、最も悪い、最もひどい、最もあなたが嫌いな人間にこそ、あなたと全く同等の権利が与えられてしかるべきだ。それを保障すべき主体がどの国か、その違いがあるにすぎない」

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