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火星探査車「パーサビアランス」による活動の様子=NASA提供

 火星で見つかった泥岩の一部から、微生物の痕跡を示唆する物質が見つかったと、米航空宇宙局(NASA)が10日に発表した。でもこのニュース、どこまで「火星には生命がいた」という証拠になり得るのだろうか。実はNASAは7年ほど前に、その考え方を示している。改めて振り返ってみると、とてもわかりやすかった。

 その考え方は通称「CoLD」といい、生命が存在した証拠が確実に得られたとするのに必要な7段階のベンチマーク(指標)となっている。この概念図は、今回の発表に合わせたNASAのニュースリリースにも埋め込んである(https://www.nasa.gov/news-release/nasa-says-mars-rover-discovered-potential-biosignature-last-year/)。

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 1段目の指標は「生物学的な反応の結果として知られるシグナルの検出」。簡単に言えば、生物が活動した結果生じる物質などが見つかることだ。これによって、生物そのものは見つからなくても、「生命が存在したのかも」という可能性が示唆される。

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火星探査車「パーサビアランス」が分析した泥岩の表面。右下のスケールバーは2ミリ=ネイチャー掲載論文の補足資料から。NASA/JPL-Caltech/MSSS

 一方で、生物が関わらなくてもそうした物質がつくられることはある。今回の発表によると、NASAは泥岩にリン酸鉄や硫化鉄の一種が豊富に含まれているのを見つけた。地球上では、微生物の代謝に伴う生成物として知られる。ただし、高温などの条件次第では、非生物学的な反応でもこれらの物質が生じることも指摘していた。

論文でにおわせた4段目の「証拠」

 では、2段目以降はどうなっているのか。

 次の指標は、「汚染が否定さ…

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