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カフェレストラン「パニエ」の厨房で料理をつくる池田未帆=2025年8月7日、福島県大熊町、岡本進撮影

現場へ! 復興へのともしび(4)

 真新しい店の厨房(ちゅうぼう)で池田未帆(30)がせわしそうに言った。「今夜は予約が36人も入り、てんてこ舞いです」

 福島県大熊町に今春完成した商業施設に入るカフェレストラン「パニエ」の店長だ。

 東京電力福島第一原発がある町には、原発事故が起きるまで約1万1500人がいた。全町避難をへて、いま町で暮らす住民は千人ほど。

 活気を取り戻そうと、町で唯一の駅、JR常磐線大野駅の近くに建てられたのが、飲食店やコンビニなどが入る商業施設だった。

 14年半前の原発事故のあと、パニエは町内に初めてできた本格レストランだ。大人数での宴会やパーティーができるため、静かな町で、にぎわいを見せる。

 池田は、横浜市の老舗ホテルでパティシエだった経験を買われ、店長に白羽の矢が立った。

 秋田県由利本荘市の出身。専門学校で学び、ホテルで6年間勤めた。だが、忙しさに体調を崩し、仕事を辞めた。

実家に帰る途中訪ねた原発の町

 実家に帰る途中、ホテルの元…

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