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 日本銀行が「異次元」の金融緩和で買い進め、長年手を付けてこなかった上場投資信託(ETF)の売却を19日に決めた。日銀の保有残高(簿価)は37兆1861億円。このタイミングの決定をどう捉えたらいいのか。3人のエコノミストらに話を聞いた。

野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミスト(元日銀審議委員)

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木内登英・野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト=2025年3月7日、東京都千代田区

 ――日銀がETFと上場不動産投資信託(Jリート)の売却を決めた。

 「(ETFやJリートと同じように、日銀が異例の政策として銀行から買い取った)株式の売却が今年7月に終わった。10年ぐらいかけて問題なく完了した経験を生かして、ETF、Jリートの売却に着手するということだと思う。ただ、今回の売却開始が本当の意味で大規模緩和の出口かどうかは分からない」

 ――どういう意味か。

 「売却ペースが極めて緩やかだからだ。銀行から買った株式を売却したのと同じペースでETFとJリートを売却するということだが、すごく時間がかかってしまう。ETFは簿価で年間3300億円程度、Jリートは年間50億円程度を売却するとしており、それではETFは売り切るまでに112.7年、Jリートは131年かかる。出口のスキームとして現実的ではない」

 ――では、今回の決定にはどのような意図があると思うか。

 「まずはやはり正常化に着手…

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