
日本国内に暮らすトルコ国籍のクルド人への差別や偏見をあおる言説はここ数年、SNSなどで急速に広まった。朝日新聞社のメディア研究開発センターは、AIを使って、「クルド」という言葉を含むSNSの投稿を分析した。その中身をみてみると、根拠の乏しい誤情報、偽情報や否定的な感情を伴うものが目立った。
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2023年1月から25年10月にかけて、「クルド」を含むX(旧ツイッター)のリポスト(再投稿)が100回を超えた3万9059件を分析した。BERTopicという手法を用いて、似た内容の投稿を分類。より多くの言及があった上位六つを抽出した。
常に多く言及されていたのは、クルド人の独立をめざして創設されたクルディスタン労働者党(PKK)に関する投稿だ=「PKK関連」①。全体の16.8%(6573件)を占めた。
PKKは、武装闘争も行い、トルコ政府がテロ組織に指定している。トルコ政府は23年11月、埼玉県川口市のクルド人による団体「日本クルド文化協会」と幹部ら6人を「PKK関係者」と認定し、トルコ国内の資産凍結を決めた。協会側は関係を否定した。今年5月、PKKは武装闘争の終了と組織の解散を宣言。7月に武器の放棄を開始している。
①では「テロを肯定する外国人との共生は無い!」など、PKKとクルド人を一体的に考え、危険視する投稿が目立った。
「解体業関連」②の分類では、クルド人の解体業者に対して「クルド人がやってるのは解体ではなく『破壊』」といった投稿が見られた。

「難民認定など入管行政関連」③の分類では、「難民申請中のクルド人四人家族に月38万円の補助金が出る」といった根拠のわからない情報が多く拡散されていた。
困窮する難民申請者には、外務省の予算から保護費(住宅費や12歳以上で日額2400円の生活費など)が出ることもあるが、年間の難民申請者のうち受給者は5%程度にとどまり、支給も原則4カ月だ。
「事件関連」④の分類は、実際にあった事件を取り上げ、批判する投稿が大半だった。
言及が多かったのは、23年7月に川口市内で起きた外国人同士の切りつけ事件。殺人未遂などの容疑で7人が逮捕されたが、全員不起訴になった。もう一つは、トルコ国籍の男が執行猶予中に不同意性交罪で起訴された事件(東京高裁で審理中)だ。関係者によると、いずれの事件に関わったのもクルド人という。
他に「ヘイトデモ関連」⑤の分類も。川口市では「日本から出て行け」などと叫ぶデモが繰り返されてきた。「ヘイトスピーチしてません。クルド人がルールを守らないから怒ってるだけ」などとデモと同調する投稿が目立った。
「報道への批判」⑥も目立った。朝日新聞やTBS、NHKがクルド人に関する特集をした際に、「偏向報道」などとする投稿が多く拡散されていた。

収集した4万件近いXの投稿について、米オープンAI社の推論モデル「o4-mini」を使い、感情分析も行った。その結果、クルド人に対して否定的(ネガティブ)な内容だとAIが判断した投稿は、全体の約7割に上った。「さっさと強制送還してくれ」など、分析した2年9カ月間の推移でみても、ネガティブな感情の投稿が常に上位を占めていた。













