中国海軍の情報収集艦が日本近海で活発に活動している。今夏、西太平洋に展開していた英国海軍の空母プリンス・オブ・ウェールズの艦隊にも、何日間にもわたって接近や追尾を繰り返した。狙いや背景について、元在中国防衛駐在官で、笹川平和財団上席フェローの小原凡司氏に聞いた。

――中国の空母が日本周辺で活発な活動を繰り返していますが、活発なのは空母だけではありません。数隻のドンディアオ級情報収集艦(AGI)が日本の周辺にローテーション展開し、ほぼ張り付くような状況です。中国海軍はAGIを使って何を狙っているのでしょうか。
AGIはあらゆる電波情報を収集する船です。(満載排水量は)6千トンぐらい、自衛隊の中型の護衛艦と同じぐらいの大きさです。外洋での航行能力もあり、中国近海だけでなく、太平洋に出たりインド洋に出たりして活動しています。
電波を含む信号情報全般はシグナル・インテリジェンスといわれますが、その中にはエレクトロニック・インテリジェンス(エリント)と、コミュニケーション・インテリジェンス(コミント)があります。エリントは電波の種類、周波数を解析して、どの装置からその電波が発信されているのかをみます。コミントは通信の内容をそのまま傍受します。

日本近海に展開中、英空母は電波を普通に発信していたはずなので、AGIは(空母の)水上レーダー、対空レーダーその他の様々な電子機器が発する電波を収集して、機器を特定し、その能力を探っていたのでしょう。
もう一つ、空母が通信しているときに、その内容をとることもできます。空母と艦載機や周囲の艦艇との通信の内容を聞き、何をやろうとしているのかなどを探っていたと考えられます。
中国軍が日本周辺で情報収集をしようとすると、航空機では(中国本土から)相当な距離を飛ばなければなりません。地理的な条件もあって、船の方が継続的にとれるという考え方なのではないでしょうか。
【連載】空母が集う海 西太平洋の安全保障
今秋、海自の護衛艦かがへの乗艦取材が認められました。英国などとの共同訓練が念頭に置くのは、軍備増強の続く中国の存在。西太平洋の安全保障の最前線を追いました。
情報収集用の装備品もグレードアップ
――中国軍が日本近海に一定期間、艦艇を張り付けて情報収集するようになったのは、いつごろからなのでしょうか。
昔から電波情報をとろうと試…












