トーストを焼き、野菜ジュースを作り、新聞を読む。
兵庫県尼崎市のマンションに住む田矢きくさん(90)の毎朝の日課だ。この部屋で1人暮らしを始めて17年になる。
繰り返す日々の中で月に一度、特別な予定がある。
日曜の昼過ぎ、マンション最上階の共有スペースへ向かうと、別の階に住む一ノ坪良江さん(80)と川名紀美さん(78)、そして、近所に住む市川礼子さん(88)とあいさつを交わす。4人で30脚ほどの椅子を整え、スリッパを並べる。
間もなく男女が集まり始め、満席になったところで田矢さんがあいさつに立つ。

「サロンを始めます」
田矢さんら4人は2009年から月1回、このマンションでサロンを開いてきた。音楽家や作家、学者をゲストに招いた2時間ほどの会で、休憩時間にはお茶とお菓子で談笑する。毎月、チラシを作って知人や近所の人に配り、今月、150回目を迎える。

「老後は近くに住んだら面白いんじゃない?」
4人が申し合わせてこのマンションや近所に住み始めたのは08年のこと。その6年前、大手日用品メーカーの広報担当として働いていた田矢さんが、友人で社会福祉法人の理事長だった市川さんらと旅行へ行った。みな独り身で、「老後は近くに住んだら面白いんじゃない?」と意気投合した。
仲間を募り、コピーライターの一ノ坪さん、新聞記者の川名さんら計7人の女性が集まった。共通するのは長く働き、一人で老後を迎えようとしていることだった。
高齢化や未婚率の上昇のため、晩年を一人住まいで迎える人が増えています。老後の孤立や住まいの確保も課題になるなか、気の合う友人同士が近くに住んで支え合う「友達近居」に活路を見いだした女性たちの姿を追いました。
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合宿を3度開いて意見を出し…









