
路上の公共性をテーマに、金沢21世紀美術館で今年9月まで開かれていた「路上、お邪魔ですか?」展。路上における現代美術や歴史資料、映像などを幅広く展示し、「自由と邪魔が混在する」空間に関する問題提起が話題を呼びました。その中で、路上で生きる人への支援のとらえ方に、雑誌販売を通じて路上生活者を支援してきたNPO法人「ビッグイシュー日本」共同代表の稲葉剛さんが疑問を持ち、展示を企画したキュレーター・本橋仁さんと対話。結果として展示内容が変化した経緯にも注目が集まりました。路上で生きる人の尊厳とは、そもそも展示を通じて社会に問いかけたかったこととは。現在、巡回展示が渋谷区立松濤美術館で11月23日まで開かれています。
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◆「路上、お邪魔ですか?」展を巡る経緯
金沢21世紀美術館(金沢市)で4月25日から9月6日まで、路上の公共性をテーマに開催。路上をカギとする現代美術や表現活動の歴史を伝えつつ、自由と排除の論理がからみ合い、時に「邪魔」という見方もある空間について問いかけた。
展示に出展したアーティストを招いた鼎談(ていだん)で、同美術館キュレーターの本橋仁さんは、ビッグイシューが配布している冊子「路上脱出・生活SOSガイド」を例示。「路上とは脱出するものであるというネガティブなイメージも有しています」と、路上生活を否定しているともとれる見方を語った。
この発言を知ったビッグイシュー共同代表の稲葉剛さんは8月に本橋さんと対話し、路上で生きる人と向き合う稲葉さんたちの姿勢が「『邪魔』だと排除している立場とされているが、逆では」と問題提起した。本橋さん側は、稲葉さんたちのこれまでの活動や理念を改めて受け止め、表現が不用意だったとして、おわびとともに談話「路上をあらためて考えていただくために」を公表。館内にも、この談話と「路上脱出・生活SOSガイド」を展示した。
同展は9月19日に渋谷区立松濤美術館に会場を移した。同館学芸員の木原天彦さんと稲葉さんたちビッグイシューの職員が協力、雑誌ビッグイシューを販売する屋台を新たに展示し、路上の公共性を考える視点をより広げる内容になっている。
◆「ビッグイシュー日本」共同代表の稲葉剛さんに聞きました。
――「路上、お邪魔ですか?」展に関する座談会で、ビッグイシューが発行する冊子「路上脱出・生活SOSガイド」を指して、「路上とは脱出するものというネガティブなイメージもある」という発言に疑問を抱いたのですか。
私たちが発行するガイドのタイトルにある「路上脱出」という言葉のインパクトに引きずられ、私を含め支援する人のスタンスが誤解されているのではないか。そう感じて、本橋仁さんと話そうと思いました。
――誤解とは。
私自身のビッグイシューでの活動は2017年からですが、それより前から東京で路上生活者の支援にかかわってきました。都内では日雇い労働者の多い山谷地域だけでなく、バブル崩壊で1993年ごろから新宿や渋谷の繁華街にも路上生活者が増えていきました。都庁の新宿への移転をきっかけに、西新宿の地下通路で路上生活者たちが「新宿段ボール村」をつくりました。

それに対し、動く歩道をつくるという名目で96年1月、都の職員が段ボールハウスを撤去して退去させようとした時、私も当事者と座り込みをして抗議しました。その後も、「邪魔だ」と路上から排除しようとする動きに一貫して反対してきました。
私たちは、どのような支援においても、路上にいる人の自己決定権を尊重することが支援の大前提に置かれるべきだと考えています。私がもう一つかかわる「つくろい東京ファンド」は、路上生活や住むところを失った人に住まいを提供する「ハウジングファースト」を支援の柱としていますが、路上がよくないから住まいを、と一律に決めてかかるのではなく、本人と話をした上で、希望する人に住居を提供する形をとっています。
行政も路上生活者への住宅提供をおこなうことがありますが、渋谷区などでは、公園などから立ち退きを求める代わりに、場所を選ばせずに用意した住居に誘導することが問題になってきました。排除をちらつかせながら移動させる手法は、自己決定権の尊重という「ハウジングファースト」の理念にも反すると私は批判してきました。
■抜け出せなくしているものは何なのか
――キュレーターの本橋さんとどんな話をしましたか。
これまでの活動を伝えて、「…













