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睡眠学者の柳沢正史さん。アメリカで最も権威がある医学賞とされる「ラスカー賞」を2026年に受賞したことでも注目されている(撮影/山本二葉・朝日新聞出版写真映像部)

 「睡眠時間は短くても大丈夫なのか」。そんな議論がたびたび話題になります。動物たちの世界を見渡すと、必要な睡眠時間は種によって大きく異なるようです。草食動物と肉食動物で差が生まれる理由から、眠りが持つ生存戦略の意味とは。米医学最高権威「ラスカー賞」2026年受賞でも注目される筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)機構長・教授の柳沢正史さんによる書籍『今さら聞けない 睡眠の超基本』から、一部抜粋して紹介します。

(AERA Books 2026年10月4日の記事を転載します)

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動物の睡眠時間は種によって決まっている

 動物の睡眠時間は個体差もありますが、種によって決まっています。特に草食動物は体の大きさと相関関係があり、大型ほど睡眠時間が短い傾向にあります。哺乳類のうち系統的に近い種は、睡眠時間と、ノンレム睡眠とレム睡眠の割合が類似している傾向にあります。

 肉食動物は草食動物に比べてレム睡眠の量が多めですが、これはほかの動物に襲われる危険性が低いためでしょう。

 また、同じ動物でも、襲われる危険が高い野生環境では睡眠時間が短くなり、動物園やサーカスの動物、ペットなどは睡眠時間が長くなる傾向があります。

睡眠時間は食性によってさまざま

 動物の睡眠時間は種や生活環境によって大きく異なります。大型の草食動物は睡眠時間が短く、肉食動物の睡眠時間が長いのは、栄養摂取方法や生態系での役割の違いに起因している可能性があります。

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肉食動物、雑食動物、大型の草食動物……睡眠時間は食性によってさまざま。『今さら聞けない 睡眠の超基本』から

種が近いと睡眠時間も近い

 系統的に近い哺乳動物は、睡眠時間とノンレム睡眠とレム睡眠の割合が似ている傾向があります。これは、遺伝的な要因や共通の進化的な背景で生じるものと考えられています。ただし、生息地によっては違いが生じることも。

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種が近いと睡眠時間も近い。『今さら聞けない 睡眠の超基本』から

生活スタイルによっても睡眠時間は異なる

 シマウマなどの被食者の動物は、ライオンなどの捕食者から身を守る必要があります。そのため、捕食者よりも睡眠時間が短い傾向があります。同じ種の中でも、個々の生物が置かれている環境によっては睡眠時間が異なることもあります。

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ライオン(捕食者)とシマウマ(被食者)。生活スタイルによっても睡眠時間は異なる。『今さら聞けない 睡眠の超基本』から
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柳沢正史(やなぎさわ・まさし)さん略歴

 筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)機構長・教授。株式会社S’UIMIN代表取締役。医学博士。筑波大学医学専門学群・大学院医学研究科博士課程修了後、31歳で渡米し、テキサス大学サウスウェスタン医学センター及びハワードヒューズ医学研究所にて24年間にわたり研究室を主宰。2010年に内閣府最先端研究開発支援プログラム(FIRST)に採択され、筑波大学に研究室を開設。12年より、文部科学省世界トップレベル研究拠点プログラム国際統合睡眠医科学研究機構を創設。17年、筑波大学発のスタートアップベンチャー企業「S’UIMIN」を起業。21年よりムーンショット型研究開発事業のプロジェクトマネージャーを務める。16年の紫綬褒章、18年の朝日賞、慶應医学賞、19年の文化功労者、23年の生命科学ブレイクスルー賞、クラリベイト引用栄誉賞など、国内外で数多くの受賞歴がある。26年に米医学最高権威「ラスカー賞」受賞。

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『今さら聞けない 睡眠の超基本』(柳沢正史監修、朝日新聞出版刊)

『今さら聞けない 睡眠の超基本』(柳沢正史監修、朝日新聞出版刊)

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