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カレーを出す保坂正人さん=新潟県妙高市白山町3丁目
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 「げんきチケット」。新潟県妙高市の「カレー屋ふくふく」の券売機には、そんな表示のボタンがある。購入者本人が食べるためのものではない。これ自体は他県などでも見られる取り組みだが、背景には、かつて店主が勤めた福祉現場での、コロナ禍での経験があった。

 同店のカレーはひと皿390円。げんきチケットも同額だ。このチケットを買った人は、出てきた券をそのまま隣のホワイトボードに貼る。ボードには「子どもら経済的に余裕のない方は、チケットを使ってカレーが食べられます」「チケットを購入されたあなたは、経済的など空腹で困っている誰かに元気を分け与えられるのです」とある。

 ボードのチケットを使いたい人向けのメッセージもあり、「将来、経済的に余裕ができたとき、次の方のためにチケットを購入して貼ってください。あなたの優しさがチケットを介し、地域に巡ります」と書かれている。昨年6月の開店当初はひと皿290円だったが、物価高の影響で値上げせざるを得なかった。ただ安価であることは重視している。「自分なりの福祉をやろう、と思ったんです」。店主の保坂正人さん(43)は話す。

 保坂さんは以前、同県上越市…

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