原発から出る「核のごみ」の最終処分場の選定に向けた「文献調査」に応じた佐賀県玄海町。町内にある九州電力玄海原発をめぐっては、反対の市民運動が長年にわたり繰り広げられ、今回も町外の団体による反対の動きが相次いだ。一方、町民の間からそうした大きな声は上がっていない。文献調査に応じた脇山伸太郎町長の判断や町民の反応をどうみるか、玄海原発の運転停止などを求めて裁判を続けている「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」の石丸初美代表に聞いた。
――町長の決断をどう思いますか。
とても無責任だと思います。町長が文献調査に応じると発表したときの記者会見も見ましたが、議会の採択とか反対の請願が出ていないとか、人のせいにしていて、自分自身の思いで住民の安全安心を守るのだという決意が感じられない。
――町長の決断は、文献調査を求める請願が町議会特別委員会に付託されてから1カ月足らずでした。
拙速な判断だと思います。住民説明会もしていないし、反対の町議たちを納得させることもしていない。そもそも、町議会の審査が始まってから採択までたった10日間です。こんな短期間で、(放射能レベルが自然界と同等に下がるまで)10万年もかかる核のごみの最終処分場の選定手続きを始めると決めて良いのでしょうか。早く決めなければいけない裏の事情があるのかと勘ぐってしまいます。
「反対派だと分かると安心して不安や疑問を口に」
――請願の付託が決まってから、いくつもの町外の団体が反対の声を上げに役場を訪れ、町長に要請書などを渡しました。一方で、町民からの反対の声はあまり聞こえません。
ずっと身近に原発があり、仕…