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お年寄りの手ほどきで茶摘みをする束荷小の児童ら=2024年5月10日午前9時41分、山口県光市束荷、三沢敦撮影
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 山口県光市教育委員会が、すべての市立小中学校を中学校区ごとに施設一体型の小中一貫校にする構想を公表してから2年余り。先陣を切る大和中学校区で再編の動きが加速している。小学校4校は来年度から1校に統合され、2028年度をめどに大和中にできる新校舎で小中一体化が図られる見通しだ。

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 青空が広がった10日、束荷(つかり)小(17人)の児童らが「つかりよりあいクラブ」のお年寄りらの手ほどきで恒例の茶摘みを体験した。かごいっぱいに新芽を摘み取り、学校に戻って蒸した後、ムシロに広げてもむ作業にも挑戦した。

 地域から姿を消しつつある茶栽培を子供たちに学んでもらおうと、お年寄りらが県の土地を借りて茶の木を植えたのは30年ほど前。初夏の風物詩になっていたが、今回が最後となった。作業後のお礼の会で、宇佐見寿乃(ことの)さん(4年)は「今までありがとうございました。おいしい束荷茶ができたら楽しく飲みたいです」とあいさつした。

 市内に五つある中学校区のうち、再編の一番手が大和中学校区。束荷、塩田、三輪、岩田の4小は今年度末で閉校し、来年4月から岩田小の既存施設を使って、小中一貫校「やまと学園」の大和小に生まれ変わる。

 大和中のグラウンドに小中一体の新校舎が完成するのはその3年後の見込み。やまと学園は、まずは施設を分離したままスタートを切る。

 束荷小、塩田小から大和小へは約5キロの道のり。児童たちは市のスクールバスで通うことになる。

 大和中に新校舎が完成するのはそれほど先のことではない。にもかかわらず、4小の統合を先行させるのはなぜか。

 市教委によると当初は新校舎の完成を待って小中を一度に統合する方向で計画が進められていた。

 だが、光市中心部から離れた旧大和町地域では児童の減少が深刻だった。束荷小と塩田小は今年度の新1年生がゼロ。1学級化や複式学級化が進む中、保護者らから早期の統合を求める声が多かったという。束荷小の保護者の女性は「もちろん少人数の良さもあるが、多くの人と関わりを持ち、社会性のある子に育ってほしい」と話す。

 市内の全11小学校の児童は計1907人、全5中学校の生徒は1027人(5月1日現在)で、それぞれピークだった1980年代の3分の1以下に減少した。大和中学校区は児童199人、生徒127人で、新校舎の完成が見込まれる28年度には児童188人、生徒94人に落ち込む見通しだ。

 束荷、塩田、岩田の3小は今年で創立150年、三輪小は146年の歴史がある。長い間地域の核だった小学校の閉校を惜しむ声は少なくない。

 束荷小では茶摘みのほか、40年以上も続いたこいのぼりの掲揚やホタルちょうちん作りなど、折々の学校行事に地元が関わってきた。茶摘みに参加したお年寄りの女性は「子供たちの笑顔を見るのが楽しみだった。寂しい」と涙ぐむ。「つかりよりあいクラブ」の秋山孝会長(79)は「時代の流れで仕方がない。最後の茶摘みを束荷小のいい思い出にしてほしい」と話した。今後、茶の木を伐採して県に土地を返すという。(三沢敦)

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 〈光市の小中一貫化構想〉 児童生徒が減少する中で一定の規模を確保し、教育環境を充実させるのがねらい。モデルケースと位置づけられる「やまと学園」を皮切りに、第2期として「室積学園」(室積中、室積小)と「島田川学園」(島田中、島田・上島田・三井・周防の4小)を、第3期として「光井学園」(光井中、光井小)と「あさなえ学園」(浅江中、浅江小)の5校を、それぞれ施設一体型の小中一貫校に順次整備する。全域で整備が終わるのは2042年度ごろの見通し。

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