Smiley face
絶滅の恐れがある国の天然記念物、イヌワシ=日本自然保護協会提供

 再生可能エネルギーの「推進役」として期待される風力発電所に、逆風が吹きつけている。地球温暖化を防ぐ再エネの試みが、生物多様性を脅かしかねないと、自然保護団体や地元から反対の声があがる。守るべきものは、温室効果ガスの削減目標か、それとも身近な生態系なのか。(堀篭俊材、東谷晃平)

 約3年前に閉鎖されたゲレンデに、桃色のタニウツギの花が咲き誇る。新潟県関川村にある元スキー場。「開けた土地は空から獲物がみえる。イヌワシの狩り場になっている可能性が高い」。現地を視察した日本自然保護協会の若松伸彦博士(46)がつぶやいた。

 環境省などによると、この周辺は絶滅の恐れがある国の天然記念物、イヌワシの生息が確認されている。貴重な繁殖地で、風力発電所の建設計画が持ち上がっている。

■国立公園内に建設「なし崩し的に広がる恐れ」

 事業主の東急不動産は、国立…

共有