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2024年5月23日、台湾の桃園にある軍事拠点を訪れた台湾の頼清徳総統=ロイター
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 中国軍が5月23、24の両日、台湾を取り囲むように演習「連合利剣2024A」を行いました。発足したばかりの頼清徳(ライチントー)政権を威嚇する狙いがあったようです。日本台湾交流協会台北事務所(大使館に相当)で、安全保障・軍事担当主任を務めた尾形誠元空将補は、演習の規模は大きくなかったものの、今後も虚実をないまぜにした中国の威嚇が続くと予想します。

 ――演習の印象は。

 動員した軍事力の規模はそれほど大きくありませんが、過去の大規模演習ではなかった項目をいくつか追加しました。それだけ、頼清徳総統に対する中国の怒りが大きかったのだと思います。

 頼氏は20日の就任演説で「1996年5月20日、民主的に選ばれた最初の総統が、中華民国台湾は主権を持つ独立国家であり、その主権は民の手にあると国際社会に伝えた」と語りました。これは、李登輝総統(当時)の「二国論」に通じるものと中国側は捉えたのでしょう。私は当時、北京に駐在していましたが、中国軍幹部は「武力行使に直結する発言だ」と激怒していました。

 頼氏は「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属しない」とも語りました。中国としては、「一つの中国」原則を完全に否定し、独立を既成事実化する発言だと受け取ったと思います。

■ベトナム侵攻時に使った表現…

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