Smiley face
オリンパス元社員の浜田正晴さん

 ダイハツ工業やビッグモーターなどで、内部告発がきっかけになって企業の不正が明らかになった事例が相次いでいます。しかし、個人が巨大な組織を相手に闘うには、様々な「壁」が立ちはだかります。かつて8年にわたって勤め先のオリンパスと闘った元社員の浜田正晴さんに、その「壁」の正体を聞きました。

はまだ・まさはる 1960年生まれ。公益通報者の保護強化を求める活動で東京弁護士会人権賞。21年に退職後はアムール法律事務所講師として各所で講演。

 内部告発をきっかけに発覚した数々の企業不正が報じられていますが、実際の不正の数に比べれば氷山の一角でしょう。なぜ告発をためらうのか。改めて問うべきは、これは生身の人間の問題だということです。

 私はオリンパス在職中、上司の不正を内部通報したところ不当な配置転換をされ、2008年に訴訟を起こしました。一審は敗訴しましたが、控訴審で逆転勝訴し、12年に最高裁で勝訴判決が確定しました。しかしその後も不当な扱いが続き、権利回復を求めた2次訴訟が決着したのは16年。闘いは8年に及びました。

 その後は定年・再雇用も経て…

共有