「ハムレット」、「リア王」、そして「マクベス」――。数々のシェークスピア作品に出演してきた横田栄司が今年、文学座の舞台「オセロー」で主人公を演じる。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の和田義盛役で多くの人の心をつかんだ俳優が、休養を発表してから約2年ぶりに舞台に戻ってくる。
文学座「オセロー」に主演
――蜷川幸雄さん演出の舞台をはじめ、多くのシェークスピア作品に出演されてきましたが、主役は初めてだそうですね。
「まず、出ているシーンの多さと、せりふの量。物理的に打ちのめされるんです。今、『ハムレット』に主演している柿澤勇人君もそう言っていました、LINEで。『これ、どうやって覚えるんですか』と。あの歴戦の勇者が。『諦めるしかないね』と返事をしました。つまり、覚えなきゃ仕方がないことを受け入れるというか……。まず、そこから始まるんですよ。これ、蜷川さんの言葉ですよ。すごい境地でしょ」
――オセローは、1ページを超す長ゼリフが幾つもあります。実際、どのようにして覚えていらっしゃるんですか。
「マッチ棒を50本ぐらい山積みにしておいて、一つセリフを言っては1本移す。全部マッチ棒が移動するまで、言い続けるんですよ。これ、尊敬していた文学座の先輩、加藤武さんが昔、やっていたのをまねしたんです。今はマッチ棒ではなく、別のものを使っていますが……。次にセリフとセリフを続けて言えるよう、自分のセリフの部分は間をあける形で、別の人たちのセリフを読み、ICレコーダーに録音する」
「出番が少なくても、同じことをやっています。そうやって覚えている間に、今度は物語が体に入ってくるんですよ。覚える一歩先に行くと、『これはどういう気分で言っているのか』ということが大事になり、『これは前のシーンのあのことを言っているんじゃないか』とか、練習している中で発見が増えてくる。セリフが多ければ多いほど、作品に対する気づきは多いと思います」
インタビュー後半では「得がたい体験」だったと語る、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の思い出についてもうかがっています。
――主人公オセローは、イタ…