政府は7日午前、国の重要インフラへのサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御(アクティブ・サイバー・ディフェンス=ACD)」の導入に向けた有識者会議の初会合を首相官邸で開いた。岸田文雄首相は「我が国のサイバー対応能力の向上は、ますます急を要する課題だ」と強調。河野太郎デジタル相は「数カ月以内」に意見集約を図るよう求めた。
河野氏は、会議の重点課題として①官民の情報共有と民間支援の強化②攻撃者の検知③政府への権限の付与――を挙げ、「数カ月以内に成果をご報告いただき、法案を取りまとめたい」と述べ、早ければ秋の臨時国会に関連法案を提出する考えを示唆した。ACDはサイバー空間の不審な動きを監視するため、市民のメールなどが政府によってのぞき見られる懸念が指摘されており、政府は会議を通じて憲法21条が規定する「通信の秘密」との整合性などの課題を整理したい考えだ。
有識者は大学教授や弁護士、報道機関幹部ら17人で構成。この日、佐々江賢一郎・元外務事務次官が座長に選任された。(宮脇稜平、鬼原民幸)