すべての県立高校のトイレを5年がかりで改修する「トイレピッカピカ計画」を進める山下真・奈良県知事が6日、県立奈良北高校(生徒数1055人、生駒市)を視察した。いまだ和式トイレが主体で、「おなかが痛くても我慢する」といった生徒の訴えに耳を傾けた。
知事は高校授業料の無償化に取り組む一方、私立に比べ設備面で見劣りのする県立高校への支援として、トイレの全面改修を打ち出している。
奈良北高校は、前身の北大和高校が開校した50年前の和式トイレが多く残る。知事は「いまどきこのタイプの便器があるのか」と驚きの声を上げながら校内を回った。河合知子校長は生徒たちは和式を使い慣れずストレスを感じていること、女性職員が40人に上るのに職員用トイレが1カ所しかない不便さを訴えた。
知事は生徒とも懇談。中野龍登さん(3年)が「おなかが痛くても我慢する子もいる。掃除を頑張ってどうにかなるレベルではない」と話すと、「ご迷惑をおかけして」と頭を下げた。
知事は「予想はしていたが、インパクトがあった。使用をためらう生徒がいてもおかしくない」と気遣った。
トイレ以外で設備面の要望も多くあった。同校は文部科学省の「スーパーサイエンスハイスクール」の指定を受けるが、「設備が見合わない」との声が教員・生徒双方から上がった。雨漏りが発生しても修繕が追いつかないことや、はがれた床は粘着テープを貼って応急処置をしているといった実情に、知事は「あまりにみすぼらしい。トイレ以外は新たな方針を示せていないが、方策を考えたい」と話した。(机美鈴)