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教室での学習を早めに終え、ネパール出身の子たちとカードゲームで盛り上がるライアン(中央)=2024年3月28日、大阪市生野区、玉置太郎撮影
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 昨年末、いくのパーク(大阪市生野区)でパーティーがあった。

 参加したのはアジア、南米、アフリカにルーツをもつ約30人の若者。IKUNO・多文化ふらっとが昨年、外国ルーツの若者を対象に、小中学生の支援者を育てる講座を始め、その参加者が企画した。

 司会はライアン(20)が務めた。

 自己紹介ゲームやクイズで盛り上げた後は、お菓子とジュースで歓談。参加者一人ひとりに声をかけ、連絡先を交換していた。

 「海外ルーツどうしがつながれる場所って、本当に限られてるんで」と言う。

教室は「自分にとっても居場所」

 大阪生まれで、スリランカとフィリピンにルーツをもつ。

 昨年春、ふらっとの教室で講師を始めた背景には「自分にもこんな場所があればよかったな」との思いがある。小学生の頃から、日本語が不得手な親の代わりに学校や役所の手続きを担い、しんどさを抱えてきた。

 教室で見せる顔は多彩だ。ネパール出身の受験生に英語で入試対策を教え、冗談を交えて笑わせる。中学生をカードゲームに誘って盛り上げる。小学生とはサッカー。2月末、第1志望の高校に不合格だった子が教室に来た夜は、そっと肩をたたき、「次はいける」と励ましていた。

 ライアンは今春、大学生になった。入学当初は大学側から留学生のような扱いを受け、「どこがダイバーシティーや」と憤っていた。国会審議中の、永住許可取り消しのハードルを下げる入管難民法改正案には、永住者として不安を口にする。

 生きづらさを感じる社会で、教室は「自分にとっての居場所でもある」と言う。

 「ここでは自分も受け入れられる。子どもの言葉や笑顔がエネルギーになります」

不就学の後輩に母語で助言

 5月16日、多文化ふらっとの教室に新人講師がやってきた。大学1年のポウデェル・アスミット(18)。

 教室の卒業生で講師になったのはアスミットが1人目で、その初日だった。

 小学5年のとき、料理人の父…

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