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ウィーンで2024年6月7日、極右と呼ばれるオーストリアの自由党の集会に集まった支持者たち=杉山正撮影
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 欧州議会選で、右翼政党が大きく躍進した。不法移民の増大の懸念、ロシアのウクライナ侵攻による物価の上昇といった人々の不満の受け皿になった。それは、「極右」と批判すれば脇に退けられるという時代は、既に終わっていることを如実に示した。

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 「扇動政治」との批判がつきまとうが、それだけが躍進の理由ではない。欧州連合(EU)と市民の乖離はなかったか。EUは選挙前、農業に関わる環境規制の一部の取り下げを余儀なくされた。実態にそぐわないと農家から大きな批判を受けたためだ。ひずみの一つが露呈した形だった。置き去りにされた人々には、EUが自分たちの生活を顧みないという思いが強い。ここを解消しなければ、結果的にEUは方向性を見失うことになりかねない。

 選挙の現場では、人々の「エリート支配」への嫌悪感が渦巻いていた。

「民主主義を取り戻すのだ」ウィーンで弁者は叫んだ

 オーストリアで極右と呼ばれ…

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