ロックバンドのMrs.GREEN APPLEの新曲「コロンブス」のミュージックビデオ(MV)について、植民地主義の肯定ともとれるとして批判が起きた問題にからみ、メンバーの大森元貴さんが公式サイトでコメントを発表。「差別的な内容にしたい、悲惨な歴史を肯定するものにしたいという意図はありませんでした」などとし、「不快な思いをされた方に深くお詫(わ)び申し上げます」と謝罪した。テレビ朝日によると、バンドは14日放送予定の「ミュージックステーション」で同曲を披露する予定だったが、曲目を変更するという。
MVではメンバー3人が歴史上の人物に扮し、大森さんはコロンブス役。3人がある島で遭遇した類人猿たちにピアノや乗馬などを教えたり、人力車を引かせたりする場面がある。
SNSでは、MVからは植民地主義や先住民への差別が感じられるとの指摘が上がっている。コロンブスはかつて「新大陸を発見した」と英雄視されてきたが、近年は、先住民の権利を侵害した人物としてその評価が見直されている。
大森さんのコメントによると、今回のMVは「年代別の歴史上の人物」「類人猿」「ホームパーティー」「楽しげなMV」といったキーワードから構想した。「歴史的時間軸は存在せず、類人猿も人の祖先として描きたかった」「類人猿を人に見立てたなどの意図は全く無く、ただただ年代の異なる生命がホームパーティーをするというイメージをしておりました」とする一方で、差別的な表現に見える恐れがあるとも感じていたといい、スタッフと表現などを確認し合っていたと説明した。
「キーワードが意図と異なる形で線で繫(つな)がった時に何を連想させるのか、あらゆる可能性を指摘して別軸の案まで至らなかった我々の配慮不足が何よりの原因です」とし、「ある事象を、歴史を彷彿(ほうふつ)とさせてしまうMVであったというご指摘を真摯(しんし)に受け止め猛省しております」と謝罪した。(野城千穂・照井琢見)