南東欧・バルカン半島にある人口約200万の小国、北マケドニアの総選挙で保守系が圧勝し、7年ぶりに政権交代する見通しとなりました。親欧州連合(EU)の中道左派政権の下で、隣国ギリシャとの対立を回避するために、かつての国名「マケドニア」を返上しました。その結果、2020年に北大西洋条約機構(NATO)加盟を果たし、22年にEUとの加盟交渉開始にこぎつけていました。今回、親EU派が大きく後退し、7年ぶりに保守系が復活した背景と意味を探ります。
- 北マケドニア総選挙、保守系野党が圧勝 EU加盟に影響の可能性も
Q 国名問題が再燃しているのか。
A 保守系で民族主義的な面を持つVMRO-DPMNEが、5月8日に総選挙と大統領選決選投票の両方で勝利した。大統領に当選したゴルダナ・シリャノフスカダフコワ氏(71)が宣誓式の途中で自国の名を正式名称の「北マケドニア」ではなく、かつての国名「マケドニア」と呼んだことが発端だ。
Q 以前の国名で呼ぶことの意味は。
A 北マケドニアが旧ユーゴスラビアから独立した1991年以来の国名は「マケドニア」。これが、アレクサンドロス大王で知られる古代マケドニア王国を自国の歴史の一部ととらえるギリシャにとって面白くなかった。既にNATOとEUに加盟しているギリシャは「マケドニア」の国名使用への反対から、マケドニアのNATOやEUへの加盟を阻止していた。
流れが変わったのは、201…