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タワーマンション群が広がる東京都心=2024年6月5日、東京都中央区、朝日新聞社ヘリから

超円安時代

歴史的な円安ドル高が続いている。家計の負担は膨らむ一方、輸出企業には過去最高益をもたらした。34年ぶりの円安水準は、私たちにとって、企業にとって、日本にとって、「恵み」か「災い」か。その功罪を解き明かす。

 東京・五反田の商業施設「TOCビル」。6月上旬、シャッターが閉まったままのビルの前にはフェンスが置かれていた。築50年以上が経つビルは、本来ならば建て替えに向けた解体工事が始まっているはずだった。

 運営会社が2021年8月に発表した計画によると、建て替え後のビルは地上30階建て。27年春の完成に向け、23年春に解体を始める予定だったが、解体の着工を1年程度遅らせると発表した。

写真・図版
解体工事が取りやめになったTOCビル=2024年6月7日午後0時41分、東京都品川区西五反田7丁目、益田暢子撮影

 今年3月末までに全テナントが撤退し、ビルは営業を終了した。ところが4月になると、運営会社は建て替え計画自体を見直すと明らかにした。主な理由は、建設費の高騰だ。改装などをした上で、9月ごろに営業を再開させるという。

 建設費の高騰の影響は公共事…

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