NHK大河ドラマ「光る君へ」が折り返しを迎えた。合戦ものが多い大河だが、今作は平安時代を舞台に、吉高由里子さんが演じる紫式部と柄本佑さんによる藤原道長の関係を軸に、人間模様を描く。脚本を担当する大石静さんに、時代考証とのやりとりや、作品への思いを聞いた。
――2006年の「功名が辻」以来の大河ドラマの脚本です。手応えや反応は?
番組の評判がいい時は、街や喫茶店や電車の中で作品について話している人を見かけます。今作もそうで、多くの方々に見ていただけているんだなと実感しています。
――清少納言が「枕草子」を書き始めたのは、まひろ(紫式部)のサジェスチョンによるものだという設定など、大石さんのオリジナルと思われるエピソードの数々も話題です。
脚本、全て考証のチェックが入って決定稿に
まひろと、ききょう(清少納言)が「元からの知り合いではなかった」という資料もありません。つまり、分かっていない。あの時代に残っている「史実」は、本当に少ないと思います。
一方で、紫式部と清少納言がともに、あの時代に狭い京の都で暮らしていたことは事実です。2人が内裏に上がった時期は違いますが、同じエリアに住み、ともに父は学者。ドラマでは6話の漢詩の会で初めて会ったという設定です。そうした交流はあったかもしれないし、なかったという資料もないので、時代考証の倉本一宏先生も「やってもよいと思う」とおっしゃいました。
――まひろと三郎(後の道長)が幼少時代に出会い、恋愛関係になるという展開も同様ですか?
そうです。全て考証の先生方のチェックが入っています。道長と式部の家は遠くないので、既に出会っていたということもあり得るとのことでした。歴史考証、風俗考証、言葉の考証、芸能考証、加えて和歌と平安文学考証、漢詩の考証……。一流の先生が何人もついている中で、私は脚本家としてどんな展開が可能かを頭のなかで巡らせ、書き続けています。「これはあり得ない」と先生方に言われた部分は一切書いていません。
――例えば、どんなことがNGでした?
それはいっぱい。「この人が入内するより前に、こんなエピソードを入れたいんだけど」と提案すると、「それは史実として時期が違うと明確なのでダメです」とか「この面談は御簾(みす)を隔てないといけない」とか……。
天皇の即位の時期や妃の入内は細かい日付までが記録に残っているのです。それは動かせないけれど、脚本家からすると「この部分は、ちょっと前に持ってきたいな」というのもあるわけで(笑)。でも、ダメなものはダメ。初稿を書き上げる前に私は先生方に「こういうことをやってもいいですか?」と問い合わせています。
ただ先生からOKが出て、書き始めたら私は色々と想像が膨らんでしまう。だから、初稿を印刷する前の段階でも先生たちに見せ、再度OKをもらう。刷り上がった後に色々と矛盾に気づくこともあり、考証会議を重ねることで決定稿になる。そのぐらい厳しいチェックがあるのです。
――早い段階で、まひろの母が道兼に殺されるという展開にも驚きましたが、裏ではチェックを乗り越えていた。
母が道兼に殺される そんな設定にした理由は…
もちろんです。1話目にはイ…