地震などの災害が起きるたび、被災者が体育館の床で寝起きし、温かい食事をとれない日々をしばらく過ごす。1月の能登半島地震でも繰り返された光景が日本の「常識」になってしまっているのではないか――。そんな問題意識を持った専門家らが学びに向かう欧州の「災害大国」イタリアには、日本とは異なる仕組みが定着していた。
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イタリアは日本と同様、国土に背骨のように山脈が走り、大地震や火山の噴火、洪水などにたびたび見舞われてきた。
「避難所・避難生活学会」常任理事の水谷嘉浩さん(53)ら約10人のチームは2018年4月、イタリア中部アマトリーチェを視察した。数百人の死者を出した16年8月の地震で歴史的な町並みは跡形もなくなっていた。
この視察に同行した記者(河原田)は、アマトリーチェ近郊にある町での避難所についての町の幹部の説明に驚いた。
幹部はこう言った。
「地震が起きた日の夜には、キッチンとシャワーを積んだトラックが被災地に到着し、ボランティアが市民に食事をつくって提供しました」
体育館などに避難所が設けられるのは、日本もイタリアも同じ。だが、そこから先の被災地支援の仕組みが違う。
ヨーロッパの「災害大国」イタリアは、先進的な避難所運営で知られています。記事後半では、その仕組みや歴史的な経緯を説明しています。また、4月に地震が起きた台湾の取り組みにも触れています。
被災地支援を管轄するのは…