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亜細亜大学アジア研究所の遊川和郎教授=2019年6月撮影
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 香港国家安全維持法(国安法)の施行から4年。厳しい統制下に置かれる国際都市・香港の現状をどのように捉えたらいいのでしょうか。香港の政治や経済に詳しい亜細亜大学アジア研究所の遊川和郎教授は「以前から始まっていた香港の変化を国安法が可視化した」と指摘します。

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 ――経済都市としての現在の香港をどのように評価していますか。

 香港では今年2月、(モルガン・スタンレーでアジア会長などを務めた)スティーブン・ローチ氏が英紙フィナンシャル・タイムズに寄稿した「香港は終わった」と題する文章(It pains me to say Hong Kong is over)が話題になりました。

 国安法の施行による香港の自治空間の減少や中国経済の減速、米中対立により、香港が強みを発揮できなくなっていると指摘する内容です。香港政府高官らは反論しましたが、多くの人が実感している内容ではないでしょうか。

 返還後の香港経済は中国の影響を受けやすく、中国への依存が進み、国安法の施行は別にしても長期的に地盤沈下傾向にあったのは否めません。国際ビジネスセンターと言いながらも海外企業の活動よりも中国企業の比重が大きくなっています。

 ――もともと香港経済の強みは何で、どう変わったのでしょうか?

国安法が可視化した「香港の変化」とは

 香港の魅力はどこにあったか…

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