江戸時代、「百姓」は主体的で、力強かった。水害対策で川の流路を変えるため、村同士が交渉し、協力して工事をした。財政難にあえぐ領主の財布を握り、家臣に直接給料を支払った。こんな当時の百姓たちを生き生きと伝えるブックレットシリーズ「松戸の江戸時代を知る」が好評だ。千葉県松戸市に残る古文書をひもといてまとめ、5月に第3巻が発刊された。
同シリーズは、一橋大学名誉教授の渡辺尚志・松戸市立博物館長が執筆している。
渡辺館長は、江戸時代の人口の8割を占めていたとされる「百姓」に焦点を当てている。
「当時の村で暮らした人たちは、農業だけでなく、林業や商業、土木工事など様々な仕事を担い、農民という言葉ではくくれない『百姓』だった。そんな、真の意味で江戸時代の主人公だった百姓たちについて、知ってもらいたい」と話している。
シリーズ第2巻「城跡の村の江戸時代」は、当時の大谷口村に残った古文書から村の様子を紹介している。
借金重ねる領主に耐えかね
領主の旗本は財政難のため…