離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」の導入を柱とする民法などの改正案の質疑が2日、衆院法務委員会で始まった。離婚前の家庭内暴力(DV)や虐待の被害が続きかねないとする懸念があることを踏まえ、リスクを排除するための仕組みについて議論が交わされた。
改正案は、父母間の協議で共同親権か単独親権を選び、折り合わなければ家庭裁判所が親子の関係などを踏まえて判断するとした。その際、家裁は、父母の一方が、子の心身に「害悪を及ぼすおそれ」がある場合や、父母間の暴力などが認められる場合には単独親権と定めるとしている。
この日の質疑で公明党の大口善徳氏は、「DVや虐待の証拠を(家裁に)提出するのは困難な場合がある」という共同親権導入に慎重な立場の人の声を紹介。家裁が被害のリスクをどのように判断するのかをただした。
法務省の竹内努民事局長は、客観証拠がなくてもDVや虐待を認定することはあると説明。また、単独親権とすべきDVは身体的なものに限らず、精神的・経済的な圧迫も含まれると答弁した。
共産党の本村伸子氏は、「精神的な暴力」の被害を認めてもらうのに医師の診断書が必要になるかを質問。小泉龍司法相は「診断書が必須とは考えていない」と述べた。
立憲民主党の枝野幸男氏は、協議離婚の際に父母が合意すれば共同親権が認められるという枠組みに疑問を呈した。離婚を急ぐあまり、不本意な形で合意してしまうケースもあると指摘。「協議離婚でも共同親権とする場合は必ず家裁の審判を経るべきだ。家裁の責任は重い」と主張した。(久保田一道、森下裕介)