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プログラムに参加する子どもたち(前列)=2024年6月18日、東京都港区赤坂1丁目、本間ほのみ撮影
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 重度障害のある子どもたちが日常的にスポーツを楽しめる環境をつくろうと、笹川スポーツ財団(東京都港区)は6月18日、都障害者スポーツ協会と共同でプログラムを開発したと発表した。江戸川区で同月からモデル事業が実施されている。

障害者1160万人、でも施設は150

 同財団によると、障害者は国内に約1160万人いるとされるが、障害者専用や優先のスポーツ施設は全国で150施設にとどまる。特に重度障害者は、特別支援学校や専用施設以外でスポーツがしにくい状況にあるという。

 そこで、今回のプログラムでは、障害者を指導するノウハウを持つ障害者スポーツセンターをハブ施設、公共スポーツ施設をサテライト施設と位置づけ、身近な公民館などとネットワークを結んでノウハウを共有できるようにする。

運動できる、「うれしい」

 モデル事業は全8回で、プールなどを利用。都内でも先駆けてパラスポーツに取り組んできた江戸川区が協力し、区内にある都立鹿本学園の児童・生徒の親子4組が参加する。まず、ハブ施設となる都障害者総合スポーツセンター(北区)で、同センターの専門職スタッフが指導にあたり、サテライト施設となる区総合体育館のスタッフがそのノウハウを学び、体育館や区民館で実施していく。

 担当する財団の小淵和也さんは、「今回のプログラムで、途切れることなくスポーツができる道を全国に示せれば」と話す。参加する同学園高等部1年の吉野叶恋さん(15)は、生まれつき両足が不自由だ。体を動かすのが好きだが、学校以外で運動できる場所の情報はなかなかないという。できる場所が増えることは「うれしい」といい、「学校以外のプールは入ったことがない。緊張もあるけど、楽しみ」と話した。(本間ほのみ)

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