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竣工直後の犀川大橋とその周辺=石川県立図書館所蔵
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 金沢市中心部にかかる犀川大橋が今年、完成から100年を迎えた。過去の災害を教訓に先人たちが「長寿」を願って構造を練った橋。思いを継ぐように細やかな補修が重ねられ、いまも人々の足元を支えている。

 犀川にかかる全長62・3メートルの道路橋。片側2車線を1日約3万台の車が行き来し、御影石で舗装された両側の歩道をのんびり歩く人もいる。

 「風景の中には、あの橋が当たり前のようにある」。犀川大橋北詰近くで江戸時代から続く染め物店「染元平木屋」店主の平木有二さん(70)はそう話す。子どもの頃、犀川の浅いところで泳いだり、魚をとったりしたという。いまでも染め物を犀川に流して洗う。日常に溶け込む橋だ。

 幕末から店を構えているという九谷焼諸江屋の社長、諸江洋さん(64)は橋の北詰近くにある片町で生まれ育った。花火を橋から眺めたこともある。「あまりにも身近すぎる橋。100年と聞くといとおしい」

 完成は1924(大正13)年3月。軽くて強い鋼材を使い、三角形を組み合わせた構造が見てとれる「ワーレントラス橋」だ。道路部分を支える橋脚は1本もない。

 土木工学が専門の金沢大名誉教授、鳥居和之さん(71)は、これらの特徴に100年もった要因があるとみる。それは先代の大橋の流失から導かれた答えだったという。

 犀川大橋のはじまりは、加賀…

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