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 保険を販売する代理店に、保険会社が社員を出向させる業界の慣行に対し、金融庁がメスを入れようとしている。出向元の商品ばかりを推奨し、顧客の選択肢が奪われる懸念があるからだ。不祥事が相次ぐ損害保険業界では見直しが進むが、生命保険業界は「適切な出向」だとして動きは鈍い。

 損保業界では昨年、旧ビッグモーター(BM)による保険金の不正請求が発覚した。代理店としてのBMに、自社の自動車保険を売ってもらおうと、損保各社が社員を出向させていた。ほかにも事故車を優先してBMに紹介するなど、代理店への便宜供与が横行。損保側の「貢献度」によって顧客に勧める保険が決まる実態が浮かび上がった。損保各社は2月に金融庁に提出した業務改善計画などで、出向を見直す方針を打ち出さざるを得なくなった。「不適切な競争を助長する可能性を防止する観点で、出向要件を見直す」(東京海上日動火災)などとしている。

 生保業界でも、自社の社員を代理店に出向者を出す慣行がある。代表例が銀行だ。銀行窓口では一括払いの外貨建て保険が人気となっている。

 この商品を銀行で多く販売す…

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