学校法人旭学園(佐賀市)は9日、2026年春開学予定の武雄アジア大学(佐賀県武雄市)の学長予定者に、国際モンゴル学会会長で国立民族学博物館の小長谷(こながや)有紀名誉教授(66)を決定したと発表した。小長谷氏は「地方の人材は地方で育てる。当然だが、大変な問題にチャレンジする姿に意気を熱気を感じた」と学長を引き受ける思いを語った。
小長谷氏は日本を代表するモンゴルの研究者。日本人女性で初めてモンゴルの大学に留学した経験をもつ。文部省国際局学術調査官を務めた際は、総合地球環境学研究所の創設準備にもあたった。現在は大学設置・学校法人審議会の大学設置分科会の特別委員を務めるなど学術行政にも関わってきた。
記者会見で、学長就任後も学術の仕事は続けるとし、「アジアを見据える人材の育成という行政的な部分を練り合わせるようにして引き受けていきたい」と語った。
また、武雄アジア大学という大学名も学長を引き受ける理由にあげ、「武雄に立ってアジアを見る。アジアを知っているからこそ、地域に役立つ存在になれる」と話し、自分自身が国内と海外という二つの地域研究をしてきたことから、「両方を同時に果たそう、つなごうという建学の精神が武雄アジア大学という名前にシンプルに現れている。微力ながら力を尽くしたい」と述べた。
同学園の内田信子理事長は「東アジアからアジア、そして世界へと広がる人間性豊かな人材の育成を目指す新しい大学を率いる水先案内人として最もふさわしい方をお迎えできた」と話した。
武雄アジア大学は東アジア地域共創学部に観光力・地域マネジメントと韓国・メディアコンテンツ(いずれも仮称)の2コースを設け、1学年の定員は140人。
総事業費は約36億円。そのうち武雄市が約13億円、県が約6億5千万円を補助する計画。市と県のいずれも、補助を計上した補正予算案が6月の定例議会で可決されている。補助は、文部科学省の認可を条件に交付される。(三ツ木勝巳)