Smiley face

 ドラマ「星から来たあなた」(2013~14年)の挿入歌などで知られる韓国の国民的バラード歌手で、現地で「鼓膜彼氏」と呼ばれるソン・シギョンさん(45)。最近は、コロナ禍で始めたユーチューブ番組も人気だ。飾らないボサボサ頭でソジュ(韓国焼酎)を片手に、行きつけの店を紹介する番組「モグルテンデ(食べるのに)」などを企画。若者や男性のファンが増え、「第二のブーム」が訪れている。

 そんなソン・シギョンさんは不惑を迎えてから日本語を学び始め、今は村上春樹の小説も読めるまでになった。さらに、日本での歌手活動にも乗り出している。すでに韓国では大スターなのに、なぜ? 取材をお願いすると、よどみのない日本語で応じてくれた。また、K-POP人気をどうみているのかについても、尋ねてみた。

ソン・シギョンさん

 ――昨年末、日本語のアルバム「こんなに君を」をリリースしました。日本語で歌う難しさはありましたか

 「最初はすごく大変でした。歌うときは、自分が歌の中の人物になって感情を入れて表現したいのに、発音を気にするとそれが難しく、歌に集中できないのが大変でした。最近、(「イカゲーム」などで知られる俳優の)イ・ジョンジェと話したら、彼も「スターウォーズ:アコライト」に出るために準備していた時、英語のせりふを自分のものにするために、口の中が枯れて舌が動かなくなるまで発音を練習したと言っていました」

 「今はある程度、自信がついて心配なく歌えるようになりましたが、日本のファンの方には『韓国語の歌が聴きたい』と言われる時もあります(笑)」

 ――なぜ、日本で活動を?

 「バラード歌手としては、日本の市場はとても魅力的な部分もある。歌をとても大事に聴いてくれるし、人口も韓国より3倍近くいて、市場も大きい。もちろん歴史や政治の問題もあるけれど、自信があればさらに挑戦したいと思うのは当然でしょう」

 「日本語を学んで、日本の曲に触れて……。日本語で歌えるというのは、また違う味で歌えるということ、新しい挑戦が純粋にうれしいんです」

 ――韓国では国民的な大スターです。ここまで日本での活動に力を入れているのが意外です

 「日本で韓流が人気といわれますが、歌手が韓流として人気になったことはない気がしています。人気なのは全部、アイドルですよね。韓国では僕も十分売れていて、僕より大きな会場でコンサートをできる歌手はいないと思う。アイドルのメンバーたちも僕のところに来て『先輩』と言ってくれます。でも、僕はまだ海外では存在感がなくて、彼らアイドルは日本のドームで3万人、4万人を集めている。僕も日本で成功して堂々と、『先輩と呼んでいいよ』と言いたいです(笑)」

 ――K―POPが人気になったことで、ソロの歌手が歌番組などのランキングなどで存在感を落としているという声もあります

 「アイドルと歌手というのは…

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