(12日、第106回全国高校野球選手権秋田大会2回戦 湯沢翔北4―5由利工)
打球は右へ飛んだ。湯沢翔北が安打を許したかと思われた。いや、右翼手の大日向慶亮選手(3年)が、するすると前に出ていた。ゴロを捕り素早く一塁へ。四回1死、あまり見かけない「右ゴロ」で打者をアウトにした。
「いつも狙っています。新チームになったあたりから肩が強くなった実感があったので」
打撃練習のとき、捕球に回ってイメージをふくらませた。練習試合でも成功させたことがあるという。
球場が水林グリーンスタジアムというのも幸運だった。中学時代に所属していたクラブチームで使った経験があり、球のはね方や球足の速さが頭に入っていたからだ。
五回には、先頭打者のファウル飛球に前へ猛然とダッシュ。フェンスぎりぎりで、差し出したグラブに収めた。
「無理だなと思ったら捕れない。これまでもボールが落ちるまで全力で走ってきました」
ともに普段からの心がけがないと、その気になって一歩目を踏み出せないプレーだ。攻撃では納得のいく結果を残せなかった一方で、「守備では持ち味を出せました」。夏の終わりにきらりと光った。(隈部康弘)