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インタビューに答える姜尚中さん=熊本市、山本壮一郎撮影
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 パレスチナ自治区ガザやウクライナで戦火がやまず、核軍縮が行き詰まる中、「核兵器廃絶への道」をどう開くのか。長崎での被爆から再興した鎮西学院(長崎県諫早市)学院長・同大学学長で、27日に長崎で開かれる国際平和シンポジウム2024「核兵器廃絶への道」で「特別トーク」をする姜尚中(カンサンジュン)さんに聞いた。

 ――パレスチナ自治区ガザなどで人道危機が続き、「核の脅し」も絶えません。

 「イスラエルの閣僚がガザでの核使用をほのめかしたのに対し、鎮西学院を含めた長崎のミッション系4大学で昨年11月、攻撃の即時停止と話し合いによる解決を求める抗議の共同声明を出しました。どんな国であれ、核の脅しは許されない。私は核の脅しは国家によるテロだと考えています」

 「いまの核保有国は国民国家で、核抑止論は国際関係が国民国家のパワーゲームであることを前提にしていますが、もし過激派組織『イスラム国』(IS)などの非国家組織に核が拡散すればどうなるか。核保有を米ロ英仏中だけに認める核不拡散条約(NPT)体制からイスラエルやインド、パキスタン、北朝鮮は外れており、核を増強している。核拡散の恐れが強くなり、核抑止論の前提が危うくなっていることに目を向けなければなりません」

27日の国際平和シンポ ライブ配信も

朝日新聞社は今月27日、長崎市、長崎平和推進協会と長崎原爆資料館ホールで国際平和シンポジウム2024「核兵器廃絶への道~核の脅威、多様性でのりこえる」を開催します。入場無料。インターネットでの無料ライブ配信もします。応募ページ(http://t.asahi.com/isp2024別ウインドウで開きます)からお申し込みください。

 ――核廃絶がそれだけ切実になっているということでしょうか。

 「核抑止論という国民国家のパワーゲームの枠の中だけで考えるのはもう時代遅れで、NPT体制は崩れてきている。むしろグローバル・サウス諸国で賛同が広がる核兵器禁止条約の方がリアル(現実的)です。特権として核保有を認められた国連常任理事国の5大国は核軍縮の努力を求められながら遅々として進まず、それ以外の国が核保有国となった。ロシアのウクライナ侵攻後、常任理事国は米英仏対ロ中に2分され、対立は修復しがたくなっている。核をめぐる国際政治の戦後体制がもう限界にきているのです」

 ――米国のオバマ大統領が「核なき世界」を訴えてから15年。核を論じる枠組みを大きく変える必要があるのでしょうか。

 「その大きな起爆剤が核禁条…

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