Smiley face
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自宅の庭で。着ているのは愛用のコムデギャルソンのドレス

 《2002年に母が亡くなった。しばらくして向かったのはパプアニューギニアだった》

 服飾評論家・深井晃子さんが半生を振り返る連載「モードの波にのって」。全4回の最終回です。(2024年5~6月に「語る 人生の贈りもの」として掲載した記事を再構成して配信しました)

 実は私、生みの父が現在のパプアニューギニアで戦死しています。私は生後3カ月。会ったことはありません。物心ついたときには、母が再婚した父がいた。生みの父のことは、造り酒屋で過ごした子ども時代に、子守のお姉さんから何となく聞いていました。でも「私には今のお父さんがいるから」って、あまり悩まない子だったのね。

 それだけ育ての父が素晴らしかった。かっこよくて、何でも知っていて、私が大学に進むときも「行くのが当然」という父でした。

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パリ・シャンゼリゼ通りのカフェで、育ての父・俊之助さん(左)と=1975年、深井さん提供

 《生みの父は、第2次大戦のニューギニア戦線へ。乗っていた戦闘機が撃墜されたという。遺体は見つかっていない》

 彼の子どもは、私1人。父が…

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