日本人宇宙飛行士2人が月に降り立つことになった。なぜ人類は再び月に行くのか、日本人が行くことで何が変わるのか。月を歩く初の日本人になるかもしれない、宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙飛行士の金井宣茂(のりしげ)さん(47)に聞いた。
――率直に、月に行きたいですか?
昨年、初めて後輩ができた。13年ぶりの選考試験で2人が候補に選ばれた。まずは2人が飛行士に認定されるようサポートすることが大事だと思う。
ただ、認定されて同じスタートラインに立てば、そこからは競争。だれが月に行っても「恨みっこなしよ」と。油井 (亀美也)飛行士も「月面ミッションに手を挙げて2人の壁として立ちはだかる」と宣言したが、私も同じ気持ちだ。
2人は「アルテミス世代」と呼ばれているが、私が候補に選ばれた2009年も、アポロ計画以来の有人月探査計画が盛り上がった時期だった。
訓練をともにしたNASA(米航空宇宙局)やヨーロッパの飛行士たちと「自分たちこそが月に戻る飛行士だ」と誓い合ったのを覚えている。ようやく、新しい時代の宇宙開発が現実化していくと考えると、楽しみでわくわくする。
人類が月面に足を踏み入れてから約半世紀。再び月面着陸をめざす米国主導の「アルテミス計画」で、日本人宇宙飛行士2人が月面に降り立つことが今年4月、日米両政府で合意されました。宇宙飛行士や識者らが展望や課題を語るインタビューをお届けします。
――日本人が月に行くということについては、どう受け止めていますか。
特に今回、アメリカ人以外で初めて月に行くのが日本人に決まったことは、これまでアメリカと協力して宇宙開発を進めてきた先輩方の努力が評価された証左だと思う。
日本は「日本だけよければ」という宇宙開発はしていない。
例えばISS(国際宇宙ステ…